エンフィールド卿へ あなたによる古代人類のチーズ再現の試みは、当方の後援者の関心を集めております。その方々からの意向を受け、この度は協業の可能性についてお伺いすべく、ご連絡差し上げました。率直に申し上げますと、私はアクウィンドゥ国におけるチーズ界の流行発信者を自負する人々の集団を代表しております。彼らはレシピの独占権に強い関心を示しており、その対価として相応の報酬をお支払いする用意があります。もし、この提案にご興味をお持ちでしたら、ご都合のよろしいときにご返信ください。こちらの依頼主との面会の場をご用意いたします。 それでは とある関係者より
今日はチーズ陰謀団がまた連絡してきた。レシピを盗んで我が物にしようと必死になっている。奴らが姿を現したのは、アンブラでのチェダー戦争で危機に瀕して以来だ。前のリーダーがノクターンの街中で暗殺された時に、連中もこれで終わりかと思ったが…そうはいかなかったな。 陰湿な脅しで私を威圧できると思っているなら、連中は想像以上に愚かだ。エンフィールド・チーズ製造所は、必要とあらば奴らを始末してでも、このチーズを市場に出すつもりだ。 これは私のキャリアで最高の発明品になるだろう。ついに、他をすべて市場から淘汰するようなチーズができるのだ。 あと少しで製法が完成する。我々がチーズの覇権を握り、そして世界の覇権を握るのは時間の問題だ。
やったぞ。我々の科学者がエンフィールド・アンブロジウムの最初のホイールを完成させた。これぞまさに神々の食べ物だ。不死鳥が直々に、絶頂期のムーダンにこの祝福されたチーズをさずけたのだ。そして、我々がそれを完璧に再現した結果、ひとくち食べた酪農主任が正気を失った。 それでも構わない。奴を処刑する手間が省けるからな。誰もこのチーズの秘密を知ってはいけないのだ。もし万が一にでも陰謀団が私を排除しようものなら、このレシピも私と一緒に死ぬことになる。 私が死んだときに発動する自爆装置を、隠してある分を除いたエンフィールド・アンブロジウムの全備蓄に仕掛けた。隠してある分については、相続人であるアマデウス・エンフィールドに遺すつもりだ。これで、私から引き渡す準備が整う前に、奴がなにか仕掛けてくるのを防げるだろう。仮に成功したとしても、手に入るのは徐々に減っていく備蓄だけで、再現する術はない。うちに秘めた強欲への相応しい罰だ。

隠してある分を見つけるには、私のメモに従い、代償を支払うしかない……これはどんな錠前を用意するよりも、よほど堪えるはずだ。 なにしろ、あいつには合言葉を言ってもらう必要がある。「ありがとう、父上」とね。そんな言葉を口にするのは、それが最初で最後になるだろうが。